WEST801.HMSP 引き寄せプレートセンタリング取付不良による両面動作不具合の修理
「室内側から鍵が開かない」
住所と物件名から調べてみると、築後38年の古いアパートでした。恐らく玉座錠でしょう。外側からも内側からドアが開かないとの事でした。
錠ケースの部品の破損も考えられますが、とにかく現場に向かいます。
現場に到着してみると、WEST801の玉座錠です。本体ケースは、薄型のMIWA HMSP(DT25-29用)でした。
近くには、米軍基地があります。従って、防音用ドアで、扉厚も厚くグレモン錠付きでした。薄型のHMSPを使用しているのは、グレモン錠との干渉を防ぐためでしょうか、
これまで管理会社や、別の鍵屋が何度も来たようですが、全く改善されずに数ヶ月放置されていたようです。どういうことなのでしょう。(結果的には、基本的な取付不良だったことが分かりました。)
このWEST801は、万能取替え用玉座錠なので、いつも在庫はあります。しかし、取り付け方には注意が必要なシリンダーセットです。
まずは、室内側を分解しますが、引き寄せプレートから外す時、少し違和感がありました。(ちょと斜めになっているのか?)
少し緩めると、デッドボルトの動作は正常に動作し始めました。強く締めると再発します。本体ケースの経年劣化は、目視では確認されませんでした。
(これは、引き寄せプレートの締めすぎか、スピンドル部品の長さが長過ぎて部品同士が干渉しているのか)
扉厚はDT36ミリであると確認しました。サムターン側のノブセットのスピンドル部品は、下の表から比較すると、適正な部品が取り付けられていたことが分かりました。(スピンドル部品を外すには、かなり分解が必要です)
シリンダー側のノブセットも分解して、スピンドル部品の刻印を確認しましたが、適正な部品でした。(再組み立ては、結構めんどくさいですが、丁寧に慎重に行います。)
本体ケースの異常も確認されませんでした。
ここまで来ると、残るは引き寄せプレート回りの原因です。このプレートが締め付け過ぎになっていると、サムターン側ノブセットのセンタリングが出来ずに、動作は重くなりますから、その締めつけ過ぎをロックタイトで調整します。
引き寄せプレートに再度取り付けると、今回はスムーズにねじ込められてゆきます。斜めになっていません。最初の違和感は、サムターン側ノブセットが斜めに取付られていたことでした。(どこかの業者による不適切な取り付け方をしていたのが原因でした)
シリンダー側のノブセットの角芯の向きも、しっかりと確認しながら、キーで180度回して施錠解錠できるようにセットします。
(これもWEST801を取り付ける時の、最大の注意点のです。360度シリンダーが回る時は、角芯を180度戻します。そうしないとサムターンとラッチボルトが一緒に動いてしまいます。よく見る取付不良ですね。)
結局、真の原因は引き寄せプレートの締め付け過ぎで、センタリングが不十分だったこと。更には、引き寄せプレートにノブセットが斜めに取付られていたことで、角芯が回りきらなかったことでした。
ここまで、1時間ほどかかってしまいましたが、やっと原因が判明して改善されました。