MIWA LB.USHIN-SHOWA-QDJ-659 破錠解錠と全セット交換
「一度は入室できたが、その後外出から帰宅時、シリンダーが回らなくなった。」
本日賃貸契約が済んで、新しい鍵を貰ったばかりとの事です。その時のトラブルですね。
内容を聞く限りは、当然鍵は持っていて、シリンダーの動作不具合です。汚れ等の経年劣化でしょうか。
LBシリンダーが付いていましたが、外観に大きな打痕があり、取り付けもガタガタです。気になりますが、洗浄作業を進めます。キーだけ新品でシリンダーは交換しませんから、築後12年の物件でも劣化は激しいはずです。
思った通り、汚れはかなり出てきました。シリンダーはかなり汚れていたようです。しかし、クリーニングで改善されるかと思ったら、15分でも回りません。
MIWA LBシリンダーは可変シリンダー管理に対応
LBシリンダーは可変シリンダーで、「ニュートラルキー」で新しい入居者用に、新しいキーの設定をしたばかりだそうです。その設定方法が誤っていて、設定したつもりが、設定されていないと言うトラブルも見かけます。(オプナスシリンダー)
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いづれにしても、ドアスコープからの通常解錠が必要ですので、作業方法を変更しました。
しかし、全くサムターンが動く感覚がありません。先端ジグを色々変更しましたが、カメラで確認しても1ミリも動きません。
カメラを通して、サムターンが緩んだ引き足のネジに乗り上げてロックされているようにも確認されましたので、破錠解錠へと作業変更しました。
ホールソーは断念[センターホールが加工出来ない]
ホールソーでコアを抜き取る方法を取ります。センターにドリリングを施しますが、さすがに硬く、ビットが砕け散ってしまいました。
グラインダーでカットする方法に変更して、コアを抜き取取りましたが、ダイレクトにデッドロックカムを操作しても1ミリも動きません。困ってしまいました。
かなり大変でしたが、引き足のネジを取り除いて、なんとかシリンダーその物を取り外しました。それでもデッドロックカムは動きません。
本体ケースがキレイに目の前に現れましたが、これ以上はケースをホールソーで破壊してデッドロックを直接操作するしかありませんが、突然ドアが開きました。
確認すると、デッドロックは完全にフリーで内部部品の欠落か破損で連動しなくなっています。
結局、全セット交換となりました。USHIN SHOWA QDJ-695 BS64 LSPタイプですが、MIWA 13LA+B5防犯サムターン+ハンドル+KABA LAシリンダーと交換しました。QDJ-695.CSと13LA.CSはサイズ互換なので、そのまま取り付け可能です。
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ハンドル丸座引き足部分のドアへの追加工が発生しましたが、オーナーが到着まで待っていた時間も含めて3時間近くの作業でした。
かなりの重症で、この様なトラブルは3件目ですね。
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原因を考察すると、シリンダーの大きな打痕があった事、フロントが異様に変形しており、外的な大きな力が、外からと中から加えられている跡が確認されました。
ケースを分解して見ると、プラスチック樹脂部品が外れており、デッドロックカムも外れて動きが取れない状態でした。
難しい構造ではありませんが、大きな力でデッドボルトを振動されると、この部品が外れるトリガーはあるようです。
元に戻して、動作は復帰しましたが、部品取りにしかなりません。設計上、コストを意識した構造のようですが、多少気になる部分もあります。
しかし、在庫として入手しておきましょう。
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コスト重視の設計上、製造上の精度バラツキも原因か
後日さらに分解して検証しました。あまりにも簡素過ぎる部品と構造なのに、なぜ起きたのか。
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鎌付きデッドボルトが十分に出た状態では、カムが外れています。(赤丸部分)これはどういう事なのでしょう。
通常は連動用スリットから外れることは無いのですが、この状態で、数ミリデッドボルトが押し込まれると、カムは完全に固定されてしまいました。
これを解除するには、デッドボルトを完全に引き出してシリンダーで回すか、デッドボルトだけを操作して中に押し込むか、どちらかの方法になります。
いづれも破錠作業に及びませんが、原因が特定されまでは、どうしても破錠解錠となるでしょう。
トステム用のこの錠ケースは、かなりの量が出回っていますので、同様のトラブルは考えられます。
やはり、在庫は準備しておきましょう。(今回は随分と長くなりました。)